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2019.05.14.

訴訟【滞納賃料請求の場合の訴額算定】

今年は大阪青年司法書士会の会長を務めている関係もあって、
青年会の研修には(自分には関係のない研修であっても)必ず出席するようにしています

先月、大阪青年司法書士会では、新人司法書士さん向けに認定考査対策の研修を開催しました。
司法書士試験に合格しても、認定考査試験に合格しないと、代理して140万円以下の裁判ができないので、
私が司法書士になったばかりの頃は過払い請求最盛期ということもあり、
みんな必死に勉強して受験したものです・・・。
(もちろん私も認定司法書士です

最近は受験生の志気が低いのか、合格率も大変低く、業界として悩ましい問題になっています。

さて、そんな認定考査対策の研修の中で、訴額の算定問題を出題したのですが、
以外と新人さんが引っかかった問題がありました。

それは、賃貸借契約に基づく賃料請求を行う場合の訴額算定方法です。

1ケ月5万円の賃料(共益費込み)を平成31年1月から平成31年4月まで
4ケ月分滞納している賃借人に対して建物明渡請求はせずに
賃料だけを請求する場合、訴額はいくらになるか?


といった問題なのですが、
通常、「1ケ月5万円×4ケ月分」で20万円が訴額になるだろうと考えるところ、
実務では滞納期間だけでなく、訴え提起時から口頭弁論終結までの期間を合計した期間を
1ケ月の賃料に乗じて算出することになっています。

そして、訴え提起時から口頭弁論終結までの期間は、
第一審の平均審理期間である12ケ月であるとするのが相当とされていることから、
答えは、「1ケ月5万円×(4ケ月+12ケ月)」で80万円となるのでした。

なお、建物明渡請求訴訟と同時に滞納賃料を請求する場合には、
訴額の算定は主たる請求(建物明渡請求)の訴額だけを考慮すれば良く、
賃料・共益費・賃料相当損害金の請求は附帯請求となるため、訴額として考慮する必要はありません。

通常は賃料を滞納している場合には、建物明渡請求を一緒に行いますので、
賃料だけ請求するというケースは稀かと思いますが、
こうして問題となって出てくると、引っかかってしまいますね。

 <みさき司法書士事務所>

2017.06.28.

裁判【第三者異議の訴え&執行停止の申立の訴額・申立印紙】

先日緊急のご依頼で、第三者異議の訴え&執行停止の申立を行いました

夫が債務名義を取られ、自宅に動産執行をされ、妻所有の事業用財産が差押えられたという事案です事業用財産は家財道具ではないので、差し押さえの対象とされてしまったようでした。

受験勉強中(もう10年前くらい・・・・。)には、第三者の財産が差押えされることなんてあると、その訴えの必要性が謎だったのですが、あるんですね・・・・
聞くところによれば、動産の場合は対抗要件が一見して明らかではなく、よくあることらしいです

第三者異議の訴えの訴額は、【差し押さえられた対象物の評価額×1/2】です。
執行停止の申立は、1件につき500円の申立印紙が必要です。
郵券はそれぞれ通常の訴訟の際に必要となるセットを用意する必要があります。

取り急ぎ、書面を作成し、同時に管轄裁判所に提出しました。
執行停止の審判が降り次第、執行官室に「執行停止の申請」を行うことになります。
タイムリミットは執行日前日の17時まで差し迫って緊急性があります。
その一方で、第三者異議の訴えにおいては勝訴を目指さなければならない・・・という大変さ。

毎回、訴訟(特に紛争性のあるもの)のご依頼を受けるたびに、登記と違って大変なので、「二度と訴訟の依頼は受けない」と心に誓うのですが、目の前に困っている人がいて頼まれると、どうしても引き受けてしまいます

とはいえ、今回の手続は勉強になりました

 <みさき司法書士事務所>

2017.03.24.

訴訟【被相続人が複数ある場合の遺産分割調停申立】

今年もまだ寒い日が続きますね
早く暖かくなってほしいです。


最近、「父が亡くなり、続いて母が亡くなり、その相続人が子とその代襲相続人」という相続関係において、相続人の間で遺産分割協議が調わず、みさき司法書士事務所で遺産分割調停の申立書類を作成することになりました。

相続人達は「1つの相続」の話し合いという感覚を持っていらっしゃるのですが、法律構成で考えると、父の相続と母の相続は別々の相続になりますので、手続きも別だと考えるのが自然です。
そうはいっても、同じ調停の中で話ができればいいのになと思い、申立を行う予定の家庭裁判所に問い合わせてみたところ、「相続人が同じメンバーならひとつの手続でできますよ!」と教えてもらいました。

この場合、家庭裁判所がHPに掲載しているフォーマットは(被相続人1名のケースなので)利用できそうにありませんが、こちらで適宜用意した申立書に、被相続人1名につき収入印紙1200円のところ、2名分の2400円を貼り付けて申立をすれば良いみたいです。

添付する戸籍の原本も1通で足りるため、効率的に手続を行うことができて良かったです。

 <みさき司法書士事務所>

2014.07.22.

訴訟【少額訴訟の特徴と感想】

最近、初めて少額訴訟の代理人となりました

簡易裁判所において0万円以下の金銭的な請求をする場合には、
「通常の訴訟」の他、「少額訴訟」という手続きを選択することもできます。

あまり少額訴訟の手続きを選択する人というのは見たことがないので、
私自身も代理人となるのは初めてで、とても良い経験になりました。

少額訴訟の特徴は簡単に説明すると、次の通りです。


【特徴】
・60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限ります。
・争いがない場合には、1回の期日で審理を終了し、判決をもらうことができます。
(争いがある場合は被告の申立又は職権で通常訴訟に移行します。)
・少額訴訟では、被告からの請求(反訴)をすることができません。
・被告は、「通常訴訟」へ移行するよう申立を行うことができます。
・原告の言い分が認められる場合でも、
職権で分割払い、支払猶予、遅延損害金免除の判決が言い渡される場合があります。

*争いがある場合というのは、例えば、原告が主張する「お金を借りた事実」について、
被告が「借りていない」「贈与してもらった」など反論して事実そのものを否定する場合などです。


特徴を見る限りでは、原告に有利なのか被告に有利なのかよくわかりませんね。
かかる費用も同じですしね…。

被告から通常訴訟へ移行する旨の申立をされた場合、
最初から通常訴訟でやっておけばよかったという話にもなりますし、
職権で分割払いの判決が出てしまう可能性があるというのは、
原告からしてみればあまりメリットのある手続きではありませんよね。
(分割でも支払ってくれれば良いという考えの場合は別ですが…。)

争いがない金銭の請求事件において、とにかく強制執行するための
債務名義が欲しいだけであれば、「支払督促」という更に簡易な手続きもございますので。

ですから私は個人的にはあまりお勧めはしておりません。
(裁判所はたくさん利用してほしいと思っていると思いますが…。)

なお、期日の開催は通常イメージするような法廷で行われるのではなく、
ラウンドテーブルで、調停のようなイメージで執り行われました。

裁判所もできるだけアットホームに裁判を行って、
できるだけ和解で解決させたいのかもしれませんね。

弊事務所に訴訟を依頼する場合の費用等についてはコチラ

 <みさき司法書士事務所>

2014.03.07.

訴訟【富山地裁判例から考える本人訴訟支援の可能性】

司法書士は、司法書士法第3条1項4号を根拠として、
裁判所に提出する書類の作成権限があります

最近でこそ簡易裁判所の代理権を得て、簡易裁判所においては
弁護士のように訴訟を本人を代理して行うことができるようになりましたが、
地裁、高裁、最高裁や家庭裁判所においては代理権はありませんので、
司法書士法第3条1項4号の書類作成権限を根拠に、
多くの司法書士が書類を作成&提出し、送達先を司法書士事務所に指定するなどして、
実質の訴訟追行をしていることかと思います。
ただし、司法書士は代理人にはなれず、あくまで書類の作成及び提出&受領までしかできませんので、
本人に裁判所に出頭していただく必要がありますし、本人に代わって交渉などもすることはできません。

これを司法書士は本人訴訟支援と呼んでいたりするのですが、
その本人訴訟支援のあり方を根底から揺るがすような地裁判例があります。

平成25年9月10日富山地裁判決(確定)では、
司法書士が受任して作成した原告本人名義にかかる訴状等によって提起された
過払金返還請求訴訟について、弁護士法72条、民事訴訟法54条1項に違反し、
不適法であるとして訴えが却下されています。
(詳しくは判例時報2206号P.111~P.120



弁護士法第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

民事訴訟法第54条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。 



この判決では、
本人にきちんと書面の中身を説明し、どういった主張をするのか、プロセスを説明した上で、
本人からハンコを押してもらって裁判所に提出しているかどうかが決め手になっているような気がします。

地裁判例なので、最高裁判例までの強力な力はないと思いますが、
今後、何かとこの判例が被告側の主張として引き合いにだされることになるのは間違いないでしょう。

あくまで司法書士は簡易裁判所以外では代理人になることはできないのですから、
本人との打ち合わせをしっかり行い、本人の納得の上で本人訴訟支援を行うべきでしょうね。


 <みさき司法書士事務所>

2013.09.08.

訴訟【建物明渡請求・賃料請求】

こんにちは
昨日は大阪司法書士会北支部の研修で、「賃貸借関係訴訟」についての研修を受けてきました。

そもそも、
司法書士が賃料請求や建物明渡請求訴訟ができるの?というところですが、
司法書士になった後に別途研修&試験を受けて合格した司法書士
(簡裁代理権認定司法書士といいます。)は、
140万円以下の簡易裁判所での裁判について、代理することができます。

家賃が1年くらい滞納しても、家賃がそんなに高くなければ、多くの場合は140万円以下ですから、
代理して訴訟したり、相手方と交渉することができます。

また、建物明渡請求訴訟については、
マンションやアパートの一室であれば、訴訟するにあたっての訴額の算定は、
建物の固定資産評価額÷登記簿上の建物の総床面積×専有部分の面積÷2
で算出しますので、建物全体では評価が140万円を超えてしまう場合でも、
1部屋だけの訴額で言うと140万円以下であることがほとんどなのです。

というわけで、司法書士でも代理できる裁判の主な例として、
賃貸借関係の訴訟があります

研修は弁護士さんを呼んでの研修でした。
以前勤めていた事務所でよく建物明渡請求訴訟をやっていたこともあり、
実務的にもよくわかる分野なので、面白かったです。

実務的には、賃料はいらないから、とりあえず1日も早く出て行ってほしい!という家主さんが多く、
賃料請求なしの明渡請求訴訟である場合が多かったような気がします。

また、既に夜逃げして、部屋に住んでいないような場合でも、
中の残留物を勝手に処分することは民法で禁止される「自力救済」にあたり、基本的にはできません。
こんな場合に、コンプライアンスを遵守するのであれば、
建物明渡請求訴訟⇒強制執行という順序を踏む必要があります。

人に家を貸すということは、リスクも伴うんだな~としみじみ感じますね

 <みさき司法書士事務所>

2013.07.10.

訴訟【時効の援用方法について】

先日、内容証明郵便での時効の援用についてご依頼をお受けしました。

時効の援用って、具体的にどうすればいいの?という話なのですが…。

そもそも、民法では時効の援用の意思表示について、
特別な方法を定めているわけではありませんので、どんな方法をもって主張してもよいわけです

電話で相手方に伝える方法でもかまいません。

実際に過払い金が時効になっている場合などは、
金融業者から電話で一言、「時効を援用させていただきます。」と伝えられて終了することもあります。
そして、電話で言われても、こちらとしては争いません。
裁判してもそこで時効の援用を主張されると、どうせ負けてしまうので、争っても無駄だからです。

というわけで、債権者へ時効の援用を主張する方法は、
電話でも、FAXでも、普通郵便でも、なんだってかまわないでしょう!
というのが私の主観なのですが、その旨お伝えしたところ、「どうしてもお願いします。」と言われたので、
今回は内容証明郵便で時効の援用を主張しました

基本的に、裁判で争った場合に、勝てるか!?負けるか!?の基準で仕事をしていますので、
「わざわざやる意味あるの!?」ってときには正直にご相談者様にお伝えしています。
メール等でのご相談でもかまいませんので、お気軽にどうぞ
お問い合わせ

 <みさき司法書士事務所>

2013.06.25.

訴訟【給与差押があった場合】

先月はじめに、「取立訴訟」と呼ばれる訴訟を簡易裁判所にて提起しました。

取立訴訟とは、各種債権の差押をした場合において、
第三債務者が任意に取立に応じてくれない場合に、第三債務者に対して行う訴訟です。

今回は、養育費の支払いを怠った元夫の働いている会社に対し、
給与の差押を行ったけれども、1年半くらいに渡って、
第三債務者(会社)から差押債権者(元奥さん)に対して取立債権を支払ってもらえず、
差押債務者(元夫)に対して通常通りの給与を支払っていたため、
その第三債務者である会社に対して、訴訟を起こしました。

答弁の内容を見たところ、会社側も悪気はまったくなかったようなのです。
ただ、「法律の知識がなく、絶対的な効力が生じることを知らなかった」
「当事者で話し合って解決するように伝えた」と。

というわけで、事情はわかるので心苦しいけれど、
法律的には会社に支払い義務があるため、
支払ってもらえていなかった分をまとめて回収しました。

また、今後お子さんが成人するまでの養育費についても、差押債務者(元夫)が勤務している限り、
給与から天引きして支払っていただけるとのことで話がまとまりました。

法律を知らないって怖いですね。
もし給与差押命令が届いたら、放置せずに対応するようにしてくださいね

<みさき司法書士事務所>

2013.05.20.

訴訟【裁判所から郵便が届いたら?】

昨日は大阪司法書士会館にて、全国青年司法書士協議会の役員会議が行われました。

その中で、最近、東京簡易裁判所や大阪簡易裁判所に対し、
貸金業者や債権回収業者が大量に貸金請求事件を起こしていることが
問題となっているという話が出ていました。

しかも、これらの事件について記録調査を行ったところ、
消滅時効期間が経過した後に提訴されているもの、
被告の住所地の管轄ではない簡易裁判所に提訴されているもの、
被告が答弁書を出しているにもかかわらず、裁判官から十分な訴訟指揮が行われていないもの、
が多く、また、その結果として全額を認容する判決に至っているものなどが多くみられているそうです。


専門家にすぐ相談していれば、支払いをせずに済むケースもあると考えられます。
減額の和解や分割払いの話し合いにもっていくことだってできるかもしれません。

また、答弁書を出してさえいれば、最初の期日に出席しなくても大丈夫なんだという事実を、
知らない人もたくさんいらっしゃることかと思います。

裁判所からの郵便が届いた場合は、出頭できないとあきらめず、
まずは専門家へアクセスすることが大切です。

今回は特に貸金請求訴訟について書かせていただきましたが、
その他の裁判についても同様です。

裁判所から郵便物が届いたら、あきらめる前にぜひ専門家に相談してください。

<みさき司法書士事務所> 

2013.05.15.

訴訟【取立訴訟の管轄裁判所】

取立訴訟とは、債権者が債務者の債権を差し押さえた際に、
第三債務者(債務者の債務者)が任意に債務を債権者(差押債権者)に支払わない場合、
第三債務者を相手方として起こす裁判のことです。

その訴えを提起する管轄裁判所なのですが、以下の点に注意しなければなりません

通常、金員を請求する裁判を起こす場合は、
①民事訴訟法第4条の原則である「被告(債務者)の住所地」か、
②財産権上の訴えである場合は、民事訴訟法第5条により「原告(債権者)の住所地」になります。
上記のいずれかの競合となります。

しかし、取立訴訟の場合には、被告(第三債務者)の義務の履行地は原告(債権者)の住所地ではありませんので、
原告の住所地を管轄する裁判所は管轄の裁判所とはならないのです。

また、こんな判例を見つけました

「持参債務の債権を差押さえたことに基づくその債権の取立訴訟については、
民訴法第5条の義務履行地は差押債権者の住所地ではなく、差押債務者の住所地である。」
(大阪高裁昭和58(ヲ)第316号、移送決定に対する即時抗告申立事件、
大阪高裁昭58.10.7第7民事部決定、抗告棄却・確定、原審大阪地裁昭58(モ)第7644号、昭58.9.6決定)

というわけで、

取立訴訟の場合は「被告の住所地」の他に、
「差押債務者の住所地」も裁判所の管轄権があるという考え方もできるようです。
ですから、取立訴訟を行う場合の裁判所の管轄は、
原則通りの「被告(第三債務者)の住所地」
「差押債務者の住所地」を管轄する裁判所ということになります。

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.09.

訴訟【擁壁設置(妨害予防)請求事件】

司法書士は地方裁判所に提出する書類の作成をすることができます。
ただし、書類を作成&提出するだけで、期日には依頼者さんに裁判所に出頭してもらう必要があるため、
破産申立などの紛争性の少ない場合はともかくとして、紛争があって相手方がいる場合には、
基本的には弁護士さんに代理して裁判手続きを行ってもらう方が、依頼者さんの利益にはなるんです。
私自身も、本人訴訟になりそうな場合は弁護士さんを紹介することがほとんどです。

ところが、ときどき「当日自分が行くのでも大丈夫!」と勇敢な依頼者さんがいらっしゃいますので、その場合には精一杯の支援はさせていただいています。

そんな本人訴訟のうち、一番やりがいのあった訴訟が
「妨害予防請求事件」
です。

裁判で隣の土地を所有する被告に対して擁壁設置請求をしたという事案です。
所有権に基づく妨害予防請求を体現化したような訴訟でした。

事案の概要をざっくり説明しますと、
1.原告はA土地を所有している。
2.被告はB土地を所有している。
3.A土地とB土地は隣り合わせの土地で、土地はA土地を上側、B土地を下側に緩やかな斜面となっていた。
4.被告がB土地を平らな土地にして利用するため、自分の土地を削り、境界部分に1m前後の段差が生じた。
5.被告は段差部分を何の処置もなく放置し、地盤がむき出しのままとなっていた。
6.少しずつ土地が崩れてきている。このままではいつ災害等で原告の土地が崩れて、被告の土地に土が流れ込むかもわからず、その場合の責任の所在も不明であるし、社会通念上は上側の土地の所有者が擁壁等を設置する義務があることから、原告が今後A土地を売却する際に、査定額が下がる恐れもある。
7.これらの危険や法益の侵害を予防するため、擁壁の設置等を行ってほしい。

というものです。
不動産関係訴訟の文献を調べて、数少ない情報を頼りになんとか訴状を書きました。



<請求の趣旨>
1. 被告は原告に対し、別紙1物件目録第2記載の土地のうち、同目録第1記載の土地との境界付近の部分に存在する斜面部分に別紙2仕様書記載の通りの擁壁を設置せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

*よって書き
よって、原告は土地1の所有権に基づき、その崩壊の危険及び土地価格の下落を予防するため、土地2の所有者である被告に対し、請求の趣旨記載の通り、擁壁を設置させる旨の判決を求める。



被告は弁護士を代理人に立ててきたものの、抗弁があいまいだったため、
こちらの立証した崩壊の危険性が認められました。
(価格の下落可能性については立証のしようがなかったので、立証できていません。)

結果としては、判決までいかず裁判上の和解で終わりましたが、内容はこちらの請求が全面的に認められ、
擁壁の設置を行ってもらうことができました。

ちなみに訴額の算定については裁判所に相談の上、擁壁設置の見積もりを業者に依頼し、その価額を訴額としました。
その場合、訴額は90万円程だったので、簡易裁判所でもできたんですが、不動産に関する訴訟ですので、
地方裁判所に移送されてもややこしくなるため、上申書をつけて最初から地方裁判所に訴えを提起しました。

珍しい訴訟ですので、思い入れのある訴訟の1つです。

 <みさき司法書士事務所>

ご予約はお電話・フォームから 06-6940-4815

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