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2023.12.06.

商業登記【みなし解散された会社の監査役】

こんにちは

みなし解散された会社を清算結了まで行う手続きにつき、今年も数件ご依頼を受けました
以前にもブログに書きました(参照)が、今年受けたケースで多かったのは、
監査役が登記されているものの(監査役はみなし解散によっても任期満了とはならないため、退任されずに登記としては残っています。)、
監査役とはもうすでに連絡がつかず、重任登記も勝手に入れられないし(←選任されてから15~20年くらい経っている・・・。)、適当な人物も用意できないというケース

この場合、監査役については選任懈怠のままで、清算人だけを選任し、清算結了登記まで進めることができます。

今年は相続がきっかけで、親が昔経営していた会社が休眠状態で残っていることが発覚したケースが相次ぎました

 <みさき司法書士事務所>

2023.11.13.

商業登記【株式交付】

今日は急にとても寒くなりましたね

今年の振り返りでブログをUPします。
今年は「株式交付」の手続きのご依頼を受け、手続きを行いました。

株式交付は、令和3年の会社法改正で新たにできた組織再編の一種で、親子会社を作るための制度です。
株式交換や株式移転と違い、気軽(?)に利用できるのが良いですね

株式交付で登記が絡むケースとは、
株式交付親会社において、「発行可能株式総数の変更」(←増やす必要がある場合)、「資本金の額の増加」、「発行済み株式総数の変更」が考えられます。

まだまだ出回っている参考資料が少ないですが、その他の組織再編の場合と添付書類はほぼ同じです。
□株式交付計画書
□上記を承認した株式交付親会社の株主総会議事録又は取締役会議事録 
□(株主総会で承認した場合)株主リスト
□株式譲渡申込書
□資本金の額の計上に関する証明書 (計上が0円であっても添付します。)
□債権者保護手続きを証する書面(債権者保護手続きを要する場合)
□委任状

で問題なく登記完了でした。

その他、登記は関係ありませんが、併せて検討・手続きを行う必要がある事項として、

①株式交付子会社の株式が譲渡制限株式である場合、子会社において譲渡承認の手続きを得る必要があること。

②資本金に計上しなかった株主等変動額は、資本準備金になるので、もし資本剰余金にしたい場合は、
別途「資本準備金の額の減少」の手続きを採る必要があること。

があります。

 <みさき司法書士事務所>

2021.02.13.

商業登記【みなし解散された株式会社の清算結了登記】

先日、長期間登記がされていなかったために、みなし解散の登記がされてしまった株式会社の
清算結了登記についてご相談をお受けし、手続きを行いました

みなし解散の登記が入っている場合、
「令和〇年〇月〇日会社法第472条第1項の規定により解散」と登記記録に記録されており、
役員欄はすべて抹消されていますが、清算人は登記されていません

この場合、まずは、清算人就任登記を行う必要があります。
ここで要注意なのは、なし解散がされた時点で、清算人には(定款に定めのない限り)法定清算人が選任されており、それが登記されていないだけという状態であるということです。法定清算人には解散前の取締役及び代表取締役がそのまま就任します。

よって、申請書は次のようになります。



登記の事由 「令和〇年〇月〇日(←みなし解散の日)清算人就任」

登記すべき事項
「役員に関する事項」
「資格」清算人
「氏名」★★★★(取締役だった者)

「役員に関する事項」
「資格」清算人
「氏名」☆☆☆☆(取締役だった者)

「役員に関する事項」
「資格」代表清算人
「住所」~~~~
「氏名」★★★★(代表取締役だった者)



もし、法定清算人とは別の人物を選任したいということであれば、
いったん法定清算人の就任の登記をした上で、辞任又は解任の登記と臨時株主総会で選任した清算人の就任の登記を別に入れてやる必要があります。

これらの登記を経た上で、通常通り、清算期間を経て清算結了登記を申請すればOKです。

 <みさき司法書士事務所>

2020.10.12.

商業登記【株主総会での本店移転や支店設置決議】

毎回久しぶりの更新です・・・

さて、最近ふと気づいたことをつづります。

株式会社の本店移転につき、定款変更を要しない場合(定款で定めた市町村内での本店移転の場合)には、
取締役会を置いていない株式会社では、「取締役の決定」で行うというのが長年における私の中での常識となっていたのですが、
最近、ご依頼を受けた法人様から出てきたのは、「取締役の決定書」ではなく「株主総会議事録」でした。

でもよくよく考えてみると、本店移転決議は定款変更を要しない場合に「取締役の決定」で行うことができるというだけであって、
取締役の決定でしなければならないというわけではありません。

そして、取締役会を設置していない限り、下記条文の通り、株主総会は万能の権限を持つことになります。


(株主総会の権限)
第二百九十五条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
 この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

つまり、本店移転についても株主総会で決議ができてしまうのです

取締役が何人もいる会社であれば、出席した取締役全員に押印してもらう必要があるので、
それなら株主総会を開いて(開いたことにして・・・)、代表取締役の押印1つでいけちゃう方が手っ取り早いじゃないか、と思いました。
もちろんそれが可能な規模の法人様に限るとは思いますが・・・。

上と同じ理屈で、支店設置の登記もできるのではないかと思い、
たまたま取締役会を置いていない株式会社様から支店設置の登記のご依頼をいただいたので、株主総会議事録でいってみたところ、
なんなく登記は完了し、自分の中で納得しました。
取締役複数いらっしゃる法人様でしたので(株主は社長のみ)、株主総会議事録に代表取締役の押印1つで申請できたのはスムーズで良かったです。

これからはもっと株主総会を利用していこうと思った一件でした。

<みさき司法書士事務所>

2020.08.21.

商業登記【登記が効力発生要件となるもの備忘録】

組織再編,組織変更,商号変更による株式会社への移行手続きの際に、
効力発生日と登記の関係をまとめてみましたいつも忘れてしまうので

新設合併 登記申請日
吸収合併 吸収合併契約に定めた日
新設分割 登記申請日
吸収分割 吸収分割契約に定めた日
株式移転設立 登記申請日
株式交換 株式交換契約に定めた日
組織変更 組織変更契約に定めた日
商号変更による株式会社への移行 登記申請日

登記申請日が効力発生日となる登記については、法務局が開いている平日でないと効力発生日とすることができないため、
事前にカレンダーを確認しておく必要があります。

 <みさき司法書士事務所>

2020.07.28.

商業登記【一般社団法人の解散】

先日、一般社団法人の解散手続きにつき、ご依頼をいただきました

一般社団法人が社員総会の決議により解散する際には、株式会社と同様に清算人を選任し、清算人から登記の申請を行うこととなります。
(定款であらかじめ清算人を定めている場合には選任をする必要はありません。)

解散登記を行うと、株式会社の場合、不要な機関は登記官により職権抹消されます(商業登記規則72条)。
例えば、取締役会設置会社である旨の登記並びに取締役、代表取締役、社外取締役に関する登記は職権抹消の対象です。

では、一般社団法人の場合には、どのような取り扱いになるのでしょうか。
調べてみたところ、一般社団法人等登記規則3条商業登記規則72条(1項2号、3号、5号を除く)の読み替えがされておりました。
そこで、下記の通りとなるようです。

◆理事、代表理事 ⇒ 職権抹消
◆理事会      ⇒ 職権抹消
◆監事       ⇒ 当然には抹消されない
◆会計監査人    ⇒   職権抹消

その他、登録免許税も株式会社と同様に、解散は3万円、清算人就任が9000円です。
清算手続きの流れもほぼ同じですが、一般社団法人の場合は定款により基金の定めや財産の帰属先の定めが
置いてあることもありますので、定款を確認することが必須です



 <みさき司法書士事務所>

2020.05.17.

商業登記【登記事項錯誤による抹消】

昨年のことになりますが、登記事項錯誤による抹消登記を行いました

ある株式会社から「非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定」の登記のご依頼を受けたところ、
その株式会社には「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」が登記されていました。

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社においては非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限の定款の定めをすることはできませんから、矛盾する登記がされていることになります。

定款を見せていただいても、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の条項は見当たらず・・・

定款と登記簿が矛盾しており、一方を正とすれば、一方は登記ができない旨を説明したところ、
「監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを置いた記憶はない」「そのような登記をした覚えはないし、言われて初めて気が付いた」とのこと

詳しく話を聞きますと、どうやら平成26年の法改正後の役員変更登記を入れた際に、
司法書士ではない者に登記の依頼をして、言われるがままに申請書類に捺印を押印したところ、このような登記が入ってしまったとのことでした。
(監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めに関する商業登記法の改正についてはコチラ

恐らく、現行定款を確認せずに、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあると思い込みで申請を入れてしまったのでしょう・・・。

仕方がないので、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」の登記を抹消することに
このときに登記申請書に添付したのは委任状の他、「錯誤の事実を証する書面」なのですが、
これはお伺いした事情をもとに、なぜこのような登記が入ってしまったのか(まるで反省文)の経緯をつらつらと書き綴った書類(A4用紙1枚程度)に、株式会社の代表取締役から法人ご実印でご捺印をいただいて提出しました

錯誤の事実を証明するってなかなかどう証明していいか、難しいですよね。

 <みさき司法書士事務所>

2020.01.29.

商業登記【合同会社の社員の利益相反取引】

久しぶりにHPを開いたら、約150日ぶりのログインだと表示されました
忙しいのを言い訳に、かなりさぼってしまったので、今年は頑張ってまたブログ再開するぞとたった今心に誓いました

さて。
最近、合同会社の業務執行社員と合同会社との間での不動産売買の所有権移転登記を行いました
ここで問題となるのは業務執行社員と合同会社との利益相反取引です

株式会社の場合は、利益相反取引を承認した株主総会議事録(取締役会設置会社の場合は取締役会議事録)を添付する必要があるのですが、
合同会社の場合はどうなるのかと思って調べてみました。

業務執行社員が会社と取引をする場合には、当該取引は利益相反取引にあたり、当該社員以外の社員の過半数の承認を得る必要があります(会社法595Ⅰ)。
*この場合の社員には業務執行社員の他、業務執行権を有しない社員も含みますので注意

この承認を得た「過半数の一致を証する書面」ないしは「同意書」(各社員が実印で押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。)なりを
所有権移転登記の申請書に「第三者の許可を証する書面」として添付する必要があります。

また、合同会社は業務執行社員は登記事項となりますが、業務執行権を有しない社員は登記事項とならないため(定款にのみ記載されます。)、
他に社員がいないかどうかを証明するために定款も添付書面となるようです。

もし社員が業務執行社員1名だけという場合には(実際はこのパターンが多いかもしれませんね)、
利益相反取引についての承認は不要ですので、定款のみ添付すれば足りるようです。

<みさき司法書士事務所>



2018.12.26.

商業登記【合同会社の有限責任社員の役員報酬】

先日、知り合いが節税のための法人を作るということで、合同会社の設立を行いました。

知り合い自身が社員になるのはもちろんですが、スタッフさんにも役員報酬を出すため、社員に入れたいと相談を受けました。

合同会社は出資した者が全員「有限責任社員」となり、有限責任社員は定款記載事項となります。
その中でも業務を執行する社員については「業務執行社員」として登記事項となります。
さらに、業務執行社員の互選により定められた代表社員は「代表社員」として登記されます。

と、合同会社の社員の地位は3段階あるのですが、
登記されない「有限責任社員」でも、役員報酬はもらえるのかどうなのか・・・・?

登記しなくても良い「有限責任社員」でも役員報酬を出して良いのであれば、
もし将来スタッフが会社を辞めても、登記の変更をする必要がなく、コストがかからず済みます

気になって、仲の良い税理士さんに質問したところ、調べてくれました。

すると、
「法人税法では、役員については、取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものと規定されており、政令は、法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事している者と規定しています(法2十五、法令7)。この場合、持分会社については、業務執行社員が政令で規定する役員に該当します(会社法590、591)。それ以外の社員であっても、実際の経営に従事していれば、法人税法の役員として取り扱われることもあるようです(法基通9-2-1)。ただ、実際の経営に従事するわけでないのであれば、業務執行社員としてきちんと登記される役員に選任しておくのが安全ですよ。」との回答でした。

(もちろん、実際に労働している実態があれば、従業員としての給与を支払うことは問題ありません。)

危なかった・・・・
大変勉強になりました

<みさき司法書士事務所>

2018.11.14.

商業登記【一般社団法人と宗教法人】

一般社団法人は昔の社団法人と比較し、目的に制限もなく容易に設立することができ、
また、公益社団法人でなくとも非営利型の一般社団法人であれば、法人税が非課税となるため、
大変扱いやすく、任意団体の法人化として近年多く利用されているように思います

昨年の事となりますが、少しスピリチュアルな活動(?)を目的とした一般社団法人の設立のご依頼を受け、法人の設立を行
いました。

スピリチュアルな活動ですので、それが宗教かと言われるとそうでもないのかもしれませんが、
特定の対象について信仰しているということは、ほとんど紙一重なのではないかと思われます。

宗教法人はそのメリットも大きいですが、設立や設立後の維持が容易ではないため、
非課税で、共益的な(宗教)活動を中心に活動したいだけですということであれば、一般社団法人で充分です。

実際、宗教法人さんで学校や出版事業を行っている団体さんも、
学校は別に学校法人を作り、出版も別に株式会社を作って、法人格を分けているようですので、
非課税に大きなメリットがあると考えておられる方であれば、なおさら一般社団法人で良い気もします。
(なお、NPO法人は宗教活動や政治活動は禁止されています。)

そこで、ふと思いました。
一般社団法人で宗教活動が可能なのであれば、今後、宗教法人に代わる新たな形態として、
一般社団法人という選択肢を採る団体も増えるのではないか!?と。

一般社団法人の利用価値、無限大ですね!!

 <みさき司法書士事務所>

2018.10.29.

商業登記【定時株主総会議事録での役員選任議事録】

もう10月も終わりですね
日が落ちるのがとても早くなってきましたね。
毎日があっという間に過ぎていくので、気づいたら年を取っているのではないかと恐ろしいです


さてさて、最近株式会社の役員の任期満了に伴う役員変更の登記を申請したときのこと・・・・

通常、任期満了に伴う役員変更の際には、定時株主総会議事録を添付して申請することとなります。

会社法上、定時株主総会では前年度の事業報告や決算書類の承認を行うこととなっており、
私も登記用に作成した議事録の中には、(実際には行われていなかったとしても)第1号議案として、「事業報告及び決算書類承認の件」を必ず入れさせていただいています。

ところが今回は依頼者様の希望で、「事業報告及び決算書類承認の件」は入れずに(実際に行っていないので・・・。)議事録を作って欲しいと言われ、「まぁ無理に議事録の中に入れなくても大丈夫でしょう」と考え、その通りに作成した議事録を法務局に提出したところ、補正の連絡が来てしまいました

担当登記官からのコメントは、
「決算書類の承認をしていない議事録を出されても、これでは定時株主総会の議事録として認められません!」と

やはりそこは必要的記載事項になるのだと再認識しました
(もしかしたら登記官によるのかもしれませんが。)

どこまでOKでどこからがNGなのか、基準がいつも不明瞭なので依頼者様の意向をどこまで採用するべきなのかとても悩みます。
こればっかりは失敗を重ねて(?)経験値を積んでいくしかありませんね。

 <みさき司法書士事務所>

2018.10.12.

商業登記【定款認証の復代理委任状】

久しぶりの更新となりました

今日たまたま同期の司法書士とランチしていたときに話題になったのが、
公証役場で行う「定款認証」の際の復代理委任状です。

法人の設立を行う場合、本店所在地の都道府県内にある公証役場で定款認証を行う必要があるため、
遠方の地域に本店を置く法人を設立する場合には、日当交通費が別にかかるのはお客様に申し訳ないので、
現地の司法書士の友人に復代理人になってもらい、定款認証のため現地の公証役場に行ってもらうことがよくあります。

(故に、全国に司法書士の友人がいるというのはとても大事

この時、私から復代理人の方に対して復代理委任状を出すことになるのですが、
原則として復代理委任状には個人の実印+個人の印鑑証明書が必要となります。

ただし、復代理委任状(PDF化したもの)に委任者として電子署名し、
事前に公証人にメールで送信することで、復代理委任状(印鑑証明書付)と同様に取り扱ってもらうことができます。

この方法によれば、個人の印鑑証明書を毎回提出する必要もないので、とても楽なのですが、
意外に知らない司法書士さんも多いようで友人も知らなかったようで驚いていました。

情報交換はとても大事ですね

 <みさき司法書士事務所>

2017.12.07.

商業登記【複数人との総数引受契約】

先月、ある法人さんの増資(募集株式の発行)を行いました。
発行した株式の引受は全て総数引受契約で行いました。
総数引受とは、特定の人が会社との契約によって募集にかかる株式の総数を包括的に引き受ける方式であり、未上場の法人さんが行う募集株式の発行は大部分が総数引受で行うケースなのではないでしょうか。

今回は引受人となる方が3名(仮にA.B.Cとします。)いました。

総数引受契約は、なんとなく1人の人が法人と契約を結ぶようなイメージですが、
実は複数人と結ぶこともできるんです

この場合、総数引受契約書は1通の契約書に法人と引受人A.B.Cの全員が連名で署名捺印したものであることが望ましいとは思うのですが、A.B.Cが赤の他人である場合、なんとなく同じ契約書に署名捺印するのは気持ち悪い感じがしますよね。

そこで、法人&A,法人&B,法人&Cの引受人ごとに3通に分けて契約書を作成しました

契約書を分ける場合には、当該契約書中に、同時に株式を引き受けるA.B.Cの氏名又は名称を記載する方法により、複数の者が同一の機会にする一体的な契約であることが明らかとなるように工夫しなければなりません

同じ内容の遺産分割協議書に、各相続人ごとに署名してもらうのと同じようなイメージで作成すれば、登記は問題なく通ります

 <みさき司法書士事務所>

2017.10.25.

商業登記【弁護士法人の従たる事務所設置登記】

先日、弁護士法人の従たる事務所設置の登記を行いました
株式会社の支店設置登記と異なり、注意しなければならない点は次の通りです

①従たる事務所は定款記載事項である。
②上記から、従たる事務所設置は定款変更にあたるため、総社員の同意(決定)により行う必要がある。


【定款変更例】
(法律事務所の所在地)
第〇条 本法人は主たる事務所を○○市におく。
2 本法人は従たる事務所を○○市におく。



弁護士法人の登記は非課税ですから、従たる事務所設置の登記も当然非課税です。
ただし、本支店一括申請を行う場合は、手数料として300円を法務局に納める必要があります。

同時に従たる事務所に勤務する予定の社員(弁護士さんです。)の加入の登記を行うケースも多く、
この場合は社員の加入についての定款変更も必要です。

特殊法人の登記は毎回大変勉強になります

 <みさき司法書士事務所>

2017.10.24.

商業登記【不動産の現物出資にDESを利用してみた】 

先日、資本金を増資するにあたり、不動産の現物出資をしたいというご相談をお受けしました。

現物出資する場合、原則として裁判所の選任した検査役による調査を受けなければならず、検査役の調査を省略するためには、不動産の場合は不動産鑑定士の鑑定書を添付することを要します。

地元の中小企業ですので、そこまで費用をかけて現物出資することもできず、どうしようか悩んでいたところ、ふと良いアイデアを思いつきました(もしかしたら普通かもしれませんが)。

目的の不動産を法人との間で売買し、その売買代金債権を「期限の到来した未払いの金銭債権」として、現物出資の目的物にしてしまえというアイデアです。

会社に対する金銭債権を現物出資する場合、「弁済期が到来していて、現物出資財産の価額が負債の帳簿価額を超えない場合」には検査役の調査を省略することができます。
さらに、この手段を用いれば、不動産鑑定士の鑑定書も不要な上、売買を原因とした所有権移転登記を行うので、土地の登録免許税が少しだけ安くなります

依頼者様に喜んでいただけて私も嬉しかったです

 <みさき司法書士事務所>

2017.08.08.

商業登記【特定創業支援事業の登録免許税減税】

最近聞いてびっくりした話。

恥ずかしながらその制度の存在を知りませんでした

認定を受けた市町村が行う特定創業支援事業の支援を受けて創業を行おうとする者(個人)が、株式会社等を設立する際の登録免許税が軽減されるという制度があります(租税特別措置法80条)。


↑こんな感じの証明書を発行してもらい、添付して登記の申請を行えば、

登録免許税が

株式会社 →資本金の額に3.5/1000を乗じて計算した額(7万5000円に満たない場合は7万5000円)
合名会社又は合同会社 →申請1件につき3万円
合同会社 →資本金の額に3.5/1000を乗じて計算した額(3万円に満たない場合は3万円)

となるようです。

支援の内容は市町村によっていろいろ異なるようです。

また、支援を受けると登録免許税の減税措置の他にも、
日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する際の1/10以上の自己資金が充足しているとみなされ、
自己資金がなくても融資を申請することができるようです。
(その際も上記の証明書が必要になるそうです。)

大阪府下も一見したところほぼすべての市町村がこの認定を受けているようです。
どんどん制度が変わるので、ちゃんとアンテナを張っていないといけませんね!

 <みさき司法書士事務所>

2017.03.03.

商業登記【DES・社長借入金の一部を資本金にする方法】

はや~い気が付けば3月ですね。
2月はDES(Debt Equity Swap)のご依頼をお受けしました

DESとは、簡単に言うと会社への貸付金を現物出資にして、募集株式を発行し、資本金の額を増額させる手続きです。

DESを行う場合のポイントは次の通りです。

1.債権を特定する必要があります

社長貸付金の場合、細々した貸付けが積み重なって、大口の借入金になっているケースがほとんです。この細々とした貸付けの全てに契約書があればよいのですが、実際にはそんなものはなく、1つ1つの債権を特定する方法がありません
したがって、改めて「準消費貸借契約」を行うか、「債務承認契約」を行うなどして、契約日、債権の性質、債権額を特定してやる必要があります。

2.債権の一部だけを出資することもできます
税理士さんやほうじん経理の方が作ってくれた会計帳簿に記載されている債務の全額を前記1のようにして一つの債権にまとめた場合でも、そのうちの一部だけを出資することができます。
この場合、株主総会議事録や総数引受契約書に記載する現物出資財産の内容の記載方法については、「平成〇年〇月〇日付準消費貸借契約(債務承認契約)にもとづく金●●円の金銭債権のうち、金●●円に満つるまで」と記載すれば足ります。

3.全額を資本金に計上する必要があるか?!
DESを行う目的のひとつに、バランスシートの負債を減らしたいということがあると思うのですが、この目的を達成するには、全額を資本金に計上せず、出資を受けた価額の2分の1を資本準備金に計上するという方法を取ることでも代えられます。
登録免許税は増加する資本金の額に課税されますから、増加する資本金の額を抑えることで登記費用の節約になりますね
*ただし、法人市府民税は資本金・資本準備金の合計で算出されるので、法人市府民税の節約にはなりません。

4.弁済期が到来した債権である必要・・・?
現物出資の目的とすることができる債権は、弁済期が到来していることが必要ですが、この「弁済期が到来しているか否か」については添付書面の中で証明する必要はないため、特に会社が期限の利益を放棄していないことが会計帳簿の記載から明らかでない限りは受理されます(平18.3.31法務省民商782号民事局長通達第2部第2 3(2)ウ(エ)d)
*今回、準消費貸借契約と現物出資の日を同一日にしたのですが、この点、理論上は債務者が期限の利益を放棄することもできるため、契約日に即期限の利益放棄・喪失というのは違和感ですが、法務局からも何の指摘もなく登記が完了しました。

 <みさき司法書士事務所>

2017.02.09.

商業登記【電話会議(Skype)の方法による取締役会】

今日、たまたまご指摘をいただき、調べてみました。

従来から、テレビ会議システムを利用した方法による取締役会の開催は「取締役間の協議と意見の交換が自由にでき、相手方の反応がよくわかるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組みになっていれば可能である」という法務省の見解がありましたが、電話会議の方法による取締役会の開催については、どうでしょうか。

電話会議による場合は、テレビ会議と比較して画像の送受信ができるかどうかという点で異なりますが、このような差異は重要なものではないとして、「会議参加者が一堂に会するのと同等の相互に十分な議論を行うことができるものであれば、現行法の解釈上、電話会議も許容されるようです。
(民事月報57巻11号15頁)

登記申請を行うにあたって、議事録の作成で注意するポイントとしては、
「電話会議システムにより、出席者の音声が即時の他の出席者に伝わり、出席者が一堂に会するのと同時に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていたこと」を議事録の記載から明らかにしておく必要があります

最近はSkypeの無料通話を利用した会議も増えているので、便利に利用してしまいますが、
そもそも「会社法上有効かどうか」ということをあまり考えたことがなかったのですが、よい勉強になりました。

 <みさき司法書士事務所>

2016.12.16.

商業登記【非営利型一般社団法人の理事の人数】

一昨日の記事につづき、非営利型一般社団法人の設立についてです

一般社団法人のうち、「非営利性が徹底された法人」又は「共益活動を目的とする法人」として、要件に該当すれば、税制上の優遇措置を受けることができます
その要件は次の通りです

【非営利性が徹底された法人】
① 定款に剰余金の分配を行わない旨の定めがあること
② 定款に解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体又は次に掲げる法人に帰属する旨の定めがあること
)公益社団法人又は公益財団法人
)認定法5条17号イからトまで(公益認定の基準)に掲げる法人
③ ①②の定款の定めに反する行為を行うことを決定し、又は行ったことがないこと
④ 各理事について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が3分の1以下であること

【共益活動を目的とする法人】
① 会員の相互の支援、交流、連絡その他の当該会員に共通する利益を図る活動を行うことをその主たる目的としていること
② 定款に、その会員が会費として負担すべき金銭の額の定め又は当該金銭の額を社員総会により定める旨の定めがあること
③ その主たる事業として収益事業を行っていないこと
④ その定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと
⑤ 定款に解散したときはその残余財産が特定の個人又は団体に帰属する旨の定めがないこと
⑥ ①~⑤及び⑦に掲げる要件のすべてに該当していた期間において、特定の個人又は団体に剰余金の分配その他の方法により特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと
⑦各理事について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が3分の1以下であること


上記のうち、
各理事について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が3分の1以下であること」の法令は次のように解釈するようです。

一般社団法人に置かなければならない理事は、1人又は2人以上とされているため、一般社団法人によっては理事が1人又は2人ということもあり得ますが、この場合には、理事とその親族等である理事の合計数が理事の総数に占める割合は常に3分の1を超えることとなるため、一般社団法人にあっては、少なくとも3人以上の理事が置かれていなければ、非営利型法人にはなりえないということになる。
『平成20年7月2日付課法2-5ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達の趣旨説明)について』

法令解釈は難しいですね・・・。

 <みさき司法書士事務所>

2016.12.14.

商業登記【一般社団法人の設立と法人化前の財産の移行】

師走は忙しいですね~

様々な手続きが、「年内に終了」を目標に掲げて動いているため、平常以上にスピード感が求められているような気がします。

ところで、最近非営利型の一般社団法人設立のご依頼をお受けしました
この法人さんはもともと権利能力なき社団として活動していた団体の「法人成り」なのですが、
長年預かった財産を管理してきたため、そこそこに現金がありました。

この現金を、設立した法人に移行するための処理をどうするかについて、税理士さんと一緒に悩んでいました。

基金ということにすれば、基金は返還義務を負うため、趣旨が違います。
また、仮に基金にするとしても、設立の際に基金を拠出できる者は設立時社員に限るところ、権利能力なき社団は設立時社員になることはできません。

そこで、設立後に「寄付金」ということで一般社団法人に寄付することで処理しましょうということになりました。
非営利型の一般社団法人であれば、収益事業以外の収入は非課税ですので、寄付収入としても何も差し支えないですし、寄付する側の権利能力なき社団もすぐに実質解散してしまうため、寄付控除が受けられる受けられないの話は問題になりそうにありません。

非営利活動法人の会計については、まだまだ不明な点が多く、私も勉強しなければならない分野だとつくづく感じました

 <みさき司法書士事務所>

2016.09.29.

商業登記【サラリーマンでも会社を設立する時代?】

久しぶりの更新となってしまいました

最近、会社員の方から節税目的の法人設立のご依頼をお受けしました。
自分のマネジメント業務を行う会社を作れば、いろいろと経費にできるので…とのこと。

「サラリーマンでも会社をもつ時代」なんてよくビジネス雑誌や本に書いてあったりしますが、本当なんですね
(そんな私も実はマネジメントのための法人を持っておりますが・・・。)

そんな場合の法人形態について、私は合同会社(LLC)をお勧めしています。
様々なメリットがあるのですが、「1人株主、1人社長」である法人さんにおいて、一番わかりやすいメリットは、「設立費用が安い」という点です。
将来的に資本金を広く集める必要がなく、設立費用を安く抑えたいような方のニーズにはとても合致するのではないでしょうか。

もともとはアメリカなどで既に導入され、広く利用されている制度(法人形態)です。
なんと、誰もが知っているあの「Apple」だって合同会社の形態をとっているんです。

機動的な会社経営を望む者にとっては魅力的な制度であるため、株式公開を目指すのでなければ、合同会社を設立することが選択肢として考えられます。

もちろん、いったん合同会社を設立した後、やっぱり株式会社に移行したい!という場合でも法定の手続を踏めば移行させることができます。

なお、合同会社の設立件数については、過去の記事を参照してください。
(コチラ)

<みさき司法書士事務所>

2016.08.29.

商業登記【株式会社設立・資本金振込のなぞ】

8月も終わりですね~。
今月は4件、会社設立をしました。週1ペース
小さい個人事務所ですので、これはなかなかの件数だと思います
数をこなせば経験の蓄積ができますので、普段あまり問題とされることのない資本金の振込について、下記に綴ってみたいと思います

通常、資本金100万円の会社を設立(出資方法は金銭での出資)する予定であれば、
原則として発起人A名義の口座に100万円を振り込み又は預け入れする必要があります。
私も、ご相談を受けた際は、そのようにお願いしています。

ところが、依頼者様によっては、いろんな振り込み方をされるケースがあります。
もう一回振り込みなおしてください、なんて言えませんね。
そんな場合の応急処置など・・・。

①発起人以外の名義の口座に振込した場合 
→発起人からその口座名義人宛の資本金代理受領の委任状を作成し、添付すればよい。
*「発起人と代表取締役が同一ではない場合において、代表取締役名義の口座に振り込みしてしまった。」といった場合に利用されます。

②複数人が発起人となる場合において、1人が他の人の分もまとめて振り込んだため、内訳がわからない場合
→払込証明書の中で、「●●さんが○○さんの出資分を代理で払込した」事実が記載してあればよい。
*ただし、共同出資の場合は後に出資割合で揉めた場合に備えて、誰がいくら払込したか証明できるよう、明確に分けて振込しておいた方が良いとは思います。定款で定めてあったとしても、お金の出どころに関して揉めることもあるので・・・。

③多めに振り込んでしまった場合
→全く問題ありません。通常通りの払込証明書の添付で、問題なく登記できます。
*「200万円とする予定だったけど、やっぱり100万円にしたい」「海外から振り込んだため、日によってレートが異なるので、少し多めに振り込んだ」などの場合にあり得ます。

④数回に分けて振り込んでいる場合
→全く問題ありません。通常通りの払込証明書の添付で、問題なく登記できます。

法務局的には、定款で定めた資本金の額が出資されていれば、少し多めに振り込んでいようが、何回かにわけて振り込んでいようが、他人名義で振り込んでいようが、あんまり気にしないようです不思議

<みさき司法書士事務所>

2016.06.03.

商業登記【整骨院を法人化する場合の法人格について】

一部保険診療を行っている整骨院(柔道整復師の施術がある)が法人化する場合には株式会社でいけるんですか?医療法人ですか?と質問され、う~ん。そう言われればそもそも株式会社にできるのだろうか・・・と思い、調べてみました

医療法人は病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設の開設を目的として設立される法人です(医療法39)。よって、整骨院では医療法人にするのは不可能です。

株式会社とする場合に疑問に思ったことが2つあります。
1つは、株式会社からの保険療養費の請求が可能かどうか。
1つは、施術所が株式会社の目的に馴染むかどうか。

1つめの点については、近畿厚生局に確認をしてみましたところ、開設者となる法人格に制限はなく、柔道整復師が施術管理者として勤務していれば良いとのことでした

次に、株式会社の目的の適格性について検討すると、一定の業務を行う者に一定の資格を要求されるものについては、会社の名においてこれらの行うべき業務を営むことは許されないため、例えば、司法書士、弁理士、行政書士の業務を株式会社で行うことはできません(昭27.7.21民甲1047号、昭29.3.6民甲481号、昭39.1.24民甲167号)。
*法人化するなら司法書士法人、特許業務法人、行政書士法人になります。

これに対し、事実行為を行うについて、一定の資格が要求されるにすぎないものについては、会社はこれらの行為を引き受けることを目的とすることができます。

例えば、理髪・美容、測量、不動産鑑定の業務については株式会社の目的とすることができます(昭30.2.18民甲354号、昭35.10.4民四185号、昭39.12.28民四426号)。

整骨院で受ける柔道整復師の施術は事実行為ですから、これらの行為を引き受けることを目的として、株式会社を設立することができることになります。

*柔道整復師の施術は医療行為ではなく、医療類似行為とされているようです。
(仙台高裁昭29.6.29)

最近ずっとモヤモヤしていた頭がすっきりしました

<みさき司法書士事務所>

2016.05.02.

商業登記【株主名簿等添付の義務化】

先日、商業登記規則が一部改正する省令が交付され、平成28年10月1日より、登記すべき事項について株主総会決議を要する場合には、決議の帰趨を左右しうる主要株主のリストの提出が必要となりました。

主な改正点は次の通りです


【決議を要する場合】
登記すべき事項について、株主総会の決議を要する場合には、総株主の議決権の数に対するその有する議決権の上位株主であって、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名、住所、保有株式数及び議決権数を証する書面を添付しなければならない。


①10名
or
②その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数

【株主全員の同意を要する場合】
株主全員の氏名、住所、各株主が有する保有株式数及び議決権数を証する書面を添付しなければならない。



書面自体は株主名簿に手を加えたような書面の提出で良さそうです。

ここ最近の1年間で、商業・法人登記に関する本人確認・実体確認等の厳格化が進んだように思いますが、私見としては本人確認や実体確認を堂々とするための大義名分になりますので、ありがたい限りです

<みさき司法書士事務所>

2016.04.27.

商業登記【合名会社設立のメリット】

先日、自分の会社を作りました
司法書士の業務とは言えない業務に関しても、法人の方で積極的にご依頼をお受けできるようにとの趣旨です

で、法人を作る際に、法人格をどの形態でいくか(株式会社にするか、合同会社にするかなど。)悩んだ末、合名会社を作ることにしました

合名会社を選択する法人って滅多にないですよね。
その理由はおそらく合名会社の無限責任だと思われます
株式会社や合同会社のように、間接有限責任を採る法人形態の方が、人の心理としては安心して仕事ができるものです。

じゃあなぜ、あなたは合名会社を作ったの?というところですが、私個人的な理由としては、次の通りです。

①珍しいし、作ったことがないから作ってみたかった!
(ほぼ毎月なにかしら法人の設立に関与しているにも関わらず、司法書士7年やってて過去一度も依頼を受けたことがありません。作ってみたいという単純な興味です。)
設立時点での出が不要
(合名会社の場合、出資する物やその額は定款で定めるのみで、設立後、出資はいつのタイミングでもよいため、設立時点で資本金の払い込みなどは必要なく、信用だけで法人を作ることができます。なお、一般社団法人なども出資不要ですが、一般社団法人は社員2名以上からでないと設立できません。)
有限責任であれ、無限責任であれ、代表者は結局責任を取らないといけないという点で同じ。
(今時、中小企業の場合は株式会社であっても合同会社であっても、銀行融資の際は代表者の個人保証が入りますし、何かしらで損害賠償責任を負うとなった場合でも、そもそも損害を与えるようなコトしちゃだめでしょ!という個人的な倫理観があるので、どんな法人体系であっても代表者の責任は常に同じと考えています。)
④設立費用の実費は6万円で済む。
(この点は合同会社と同じですね。なお、株式会社の場合、実費だけで20万円くらいかかります。)
⑤設立後にやっぱり嫌だと思っても、手続を踏めばいつでも合同会社や株式会社に移行できる。

以上でしょうか。

理由は様々な理由があると思いますが、1人からでも信用だけで法人を作ることができるという点に非常にメリットを感じました。

合名会社という法人形態を採る法人は大変少ないですが、何かメリットがあるハズだと思い、そのメリットや実際に自分がこの法人形態を選択してみての体験を、今後の司法書士業務にも活かすことができればいいなぁと思っています。

<みさき司法書士事務所>

2015.12.19.

商業登記【資本金の額減額のメリット】

いよいよ年末が近づいてきました。

年内に登記をあげて欲しい
年内に取引を済ませたいというご依頼が多いため、今週と来週は忙しい日が続きます

ブログの更新も12月に入ってから久しぶりになります

さて、今更ですが11月の中旬頃、兵庫県青年司法書士会と青年税理士会と合同で勉強会を開催しました。
お互いに日々疑問に思っていることを事前に質問として投げ合い、
それに回答する形で講義を行う勉強会でした。

青年税理士さん側から出た質問のうち、
「会社の資本金の額の減少」について、簡単ですが講師をさせていただきました。

次のような会社は資本金の額を減少するとメリットがあります。
check
□資本金の額が1000万円(又は3000万円、1億円)を超える。
□上記の場合において、特に資本金の額に意味はない。
□実際に会社の資産は登記簿上の資本金の額を下回っている。

どのようなメリットかと言いますと、受けられる税制優遇措置が変わってくるのです。
これらは会社の資本金の額により異なります。
資本金の基準額は、1000万円、3000万円、1億円と3つのボーダーラインがあり、
それぞれ次のようになっています。

【資本金1000万円ライン】
法人市民税の均等割り(赤字でも課税されます。)の課税のボーダーラインになります。
大阪市では1000万円以下の会社と、1000万円超の会社で、いずれも赤字で従業員50人以下である場合、
税金が8万円変わります(次の表は大阪市の場合)。

【資本金3000万円ライン】
特定中小企業者等の基準になります。
特定中小企業者等とは、中小企業者のうち資本金の額が3000万円以下の法人を指しますが、これに該当することで「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別控除」の適用などがあり、税務上の優遇を受けられるようです。

【資本金1億円ライン】
資本金が1億円以下の会社の場合、次のような法人税、地方税のメリットが受けられます。
①法人税の計算上、軽減税率の適用がある。
②交際費の定額控除が受けられる(800万円以下の交際費全額が損金算入できます。)。
③30万円未満の減価償却資産は全額損金算入できる。
④特定同族会社の留保金課税の対象外。
⑤青色欠損金の繰戻還付制度の適用がある。
⑥青色繰越欠損金の損金算入ができる。
⑦機械等を取得した場合の特別償却
⑥法人事業税の外形標準課税が対象外。
⑦法人市民税の均等割りのボーダーライン(上の表を参照)

そして、これは有利と言えるかどうかわかりませんが、資本金1億円超の会社は国税局管轄で、1億円以下の会社は税務署管轄となるようです。

以上の理由から、資本金の額は上場を目指すなど、特に理由のない限り、1000万円以下である方が有利かもしれませんね。最近、税理士さんから顧問先法人様の減資の相談を受けることも多いのですが、これだけメリットがあれば、減資を考えるのは地道な節税対策になるのかもしれませんね。

 <みさき司法書士事務所>

2015.09.17.

商業登記【弁護士法人の設立登記】

私の知り合いの弁護士の先生がこの秋に開業と同時に弁護士法人を設立することになり、
みさき司法書士事務所にて、設立登記をさせていただくこととなりました。

弁護士法人の設立について記載のある専門書があまりなくて…。
ちょっと困りました

ですので、記録代わりにここにメモ書きしておきます。



【実費】
■公証役場での定款認証が52,000円程度
■登録免許税は非課税(課税根拠となる法律がないため、というのが根拠です。)

【登記の必要書類】
■定款(認証済み)
■社員の弁護士の資格証明書(日弁連が発行してくれます。)
■代表社員を選定した総社員の同意書(定款で定めた場合は不要)
■登記用委任状(代理人が申請する場合。)
■印鑑届出書
■代表社員個人の実印の印鑑証明書(印鑑届出書添付用)
■印鑑カード交付申請書



弁護士法人は社員が1名からでも設立できますので
(ちなみに税理士法人や司法書士法人は社員2名からでないと設立できません)、
社員が1名だけで設立する場合には当然にその者が代表社員となるため、
定款で定めが無い場合でも代表社員を選定した総社員の同意書は不要です。

また、本店所在地の指定について、定款で最小の行政区までしか定めていない場合には
別途「社員の決定書(同意書)」などの書類を作って添付することで足ります。

それから、定款を作成する際に注意しなければならないことは、
社員総会の決議方法や業務担当社員の指定、定款変更などについては
基本的に定款で別段の定めをおくことが可能ですが、
代表社員の指定、合併については、法定で「総社員の同意」となっているため、
定款で別段の定めをおくことはできないということです。

最後に不思議に思ったことは、「就任承諾書」の添付は不要ということです。

年間に何十件か法人設立の登記に関与させていただいていますが、
私の事務所で設立に関与した法人さんの発展していく様子を見るのが楽しみです

 <みさき司法書士事務所>

2015.07.29.

商業登記【旧姓(婚姻前の氏)の登記】

今年から商業登記法が改正となり、取締役等の会社役員の氏名を登記する際に申し出れば、
旧姓も添えて登記できるようになりました(登記するかしないかは選択できます。)。

とはいえ、旧姓を登記することのメリットってなんなんだろう…。と考えておりましたが、
例えば婚姻後も旧姓を名乗って仕事をする場合なんかには
登記されている人物と同一人物であることがわかるので、
それがひとつのメリットだと思う一方、新しい姓で仕事をしている場合には
わざわざ旧姓をさらすことはプライバシーに関わることですので、敢えて登記する必要はないのかもしれません。

まぁ滅多にないだろうと考えていたところ、最近知り合いの女性社長がご結婚され、
「旧姓も登記してほしい」とのご依頼をいただきました

本を見ても、オンラインで登記申請を行う場合の記載方法は詳細には載っておらず、
法務局に確認して申請を行った結果、次のようになりました。


【登記の事由】
○○(←役職名)の氏変更

【登記するべき事項欄】
「役員に関する事項」
「資格」○○
「住所」○○
「氏名」○○(←新しい氏名)
「原因年月日」平成○年○月○日氏変更

【その他の申請書記載事項欄】
婚姻前の氏の記録の申出
取締役(及び代表取締役) ○○ ○○ (婚姻前の氏 ○○)

*添付書類は戸籍謄本と委任状です。



とっても簡単でした。

また、登記用委任状には、後に旧姓を登記すると言った言わないでトラブルとならないよう、
委任事項として、「○○は平成○年○月○日婚姻によりその氏名を○○に変更したため、その変更登記及び旧姓の登記を申請する件」と明確に入れています。

 <みさき司法書士事務所>

2015.05.19.

商業登記【全国的な合同会社設立数の増加】

以前に比べて「合同会社を設立したい」とピンポイントの相談を受けることが多くなってきました。

合同会社は株式会社と同様に会社法に準拠して設立される有限責任の法人ですが、
株式会社に比べると知名度が低いです。

平成18年の会社法改正でできた法人の形態なので、
まだ制度としては新しく、一般の方に認知されていないと思っていたのですが、
法務省の【登記統計~平成26年度~】のうち、
商業法人登記の設立登記の申請件数だけをみると、全国で次のようになっていました。


このデータから見てわかることは、
株式会社の設立件数は毎年平均すると同じくらいの件数なのですが、
合同会社に限って見れば、年々増加傾向にあるということです。
平成25年は平成22年の約2倍ですから、すごい勢いです。

なお、合同会社と株式会社の違いは次の通りです。


さておき、毎年これだけ多くの新しい会社が設立されているんだな~と驚きました。

もちろん、株式会社や合同会社以外にも法人はたくさんありますから、
それらも合わせると毎年もっと多くの法人が設立されていることになるのでしょう。

たくさんの人が起業していることを思えば、
世の中不況って本当なのかな~?と不思議に思ってしまいます。
(不況だから起業するのかな??)

H28.9.29 グラフにつきH27年度情報を更新

 <みさき司法書士事務所>

2015.04.20.

商業登記【監査等委員会設置会社の設置】

以前から騒がれているので知らない人はいないと思いますが、会社法がこの5月から改正されます

司法書士の登記業務に大きく関係するのは監査等委員会設置会社への移行の登記なのではないでしょうか。

今回の改正では、コーポレート・ガバナンスの強化が図られています。

公開会社であり、大会社であり、かつ監査役会設置会社であって、有価証券報告書提出会社では、
社外取締役を置かない場合には「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明義務を負う
ということになりました。
(法327条の2、規124条2項、規74条の2第1項)

また、コーポレート・ガバナンスコード(原案)などによる上場会社に対する社外取締役設置の圧力を鑑みれば、
監査役会設置会社であれば、法律上の社外監査役の最低設置人数(監査役の過半数)2名に加え、
社外取締役を最低2名置くべきこととなり、結果として社外役員を計4名設置しなければならないという負担が生じます。


【コーポレート・ガバナンスコード(原案)】についての解説

政府の「『日本再興戦略』改訂2014」に基づく日本の成長戦略の一環として策定された、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものであり、東京証券取引所と金融庁により、本年3月5日に公表されました。

同コード(原案)の基本原則4-8第1文は、「独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任するべきである。」としています。
また、第2文では、「業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記に関わらず、そのための取り組み方針を開示すべきである。」としています。

また、これをうけて平成27年2月24日、東京証券取引所は「コーポレート・ガバナンスコードの策定に伴う上場制度の整備について」を公表し、上場会社がコーポレート・ガバナンスコードを実施しない場合には、定時株主総会後遅滞なくコーポレート・ガバナンス報告書を提出して、その理由を説明することとして整備制度を行うものとしています。



これらに対し、監査等委員会設置会社であれば、法律上社外取締役を最低2名~(過半数)設置すれば足りることになるため、この負担を回避することができることになります。

他にも利点として、
①重要事項についての意思決定の迅速化が可能となる点
②監査等委員が取締役会の構成員であることによるガバナンス強化の期待
③監査役の法定任期4年に対し、監査等委員の任期は(取締役なので)2年と短く、2年の経過後に再任の可否を検討することが可能
④利益相反取引についての任務懈怠の推定規定を排除する特定の適用が可能となる点
が挙げられます。

が、やはり社外取締役設置の負担回避が一番の利点でしょう。

移行するためには、
1.株主総会において定款変更を行う
2.株主総会において、1に伴い任期満了する役員の選任を行う
3.登記

という流れになります。

登記そのものは、
□取締役・代表取締役の退任・就任
□監査役設置会社及び監査役会設置会社である旨の廃止
□監査役の退任
□監査等委員会設置会社である旨の登記
□監査等委員である取締役の登記
□社外取締役である旨の登記

を行うことになるようです。
きっちり勉強しないと、改正についていけそうにないですね。

 <みさき司法書士事務所>

2015.03.24.

商業登記【設立時定款の再認証・誤記証明】

 先日、法人設立の登記のご依頼を受けて、
いつものように打ち合わせを行い、定款案を公証人にチェックしてもらい、
ご依頼主様にもチェックしてもらい、これでGO!ということでしたので、定款認証を行いました。

このブログをお読みの方はご存知の方も多いかと思いますが、
定款認証って5万円弱の公証人費用がかかるんです。

定款認証を終えて、後は設立の登記するだけの状態です
(法人設立の手順はコチラを参照してください。

設立登記の申請書を作成中に、「あれ…????」

たいした間違いではないのですが、
定款の目的事項の中の、「○○する事を通じて、~~することを目的とし、~~」というように、
同じ文章の中に「事」と「こと」が混在していました

ご依頼時にいただいたヒアリングシートのままなので、
こちらのミスかと言われるとそうではないとも思うのですが、
正しい日本語はひらがなだと思いますので、このまま登記するのはプロとして気が引けます。
公証人のチェックも、ご依頼主のチェックもかいくぐり、最後の最後で気が付きました
どうして定款認証前に気づいてあげられなかったんだ~と自分を責めましたが、
とはいえ、認証を受けた定款の登記事項がそのまま登記されることになりますので、
このままこちらで勝手にひらがなに変更することもできません。

どうしよう…と思い、公証人の先生に相談しましたら、
「あ~。誤記だったら、誤記証明(無料)出せるんですけどね~。
でも、これは誤記ではないですからね~。
どうしましょう?再認証(多分もう一度費用がかかる。)しましょうかね??」

と言われ、おそるおそる再認証費用を尋ねましたら、
「あぁ、うちは再認証無料でやってますんでうちだけだと思いますけどね。」

との神対応でした

司法書士は言われたことをそのまま登記するのではなくて、
一般的にはこうですよ。と助言してあげられるようでなければ、
存在意義がありませんからね。

納得のいく仕事ができて、私自身も満足したのでよかったです。

公証人の先生ありがとうございます~。

 <みさき司法書士事務所>

2015.03.17.

商業登記【代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社の設立】

平成27年3月16日から法務局の運用が代わり、
代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社の
設立・重任登記・就任登記が可能となりました。

今までは必ず1人は日本に住所を有する者が代表取締役として
入っていなければ登記が受理されませんでした。
(会社法上は何の根拠もなかったのですが、登記の運用として。)

そこで、今まで外国に住所を有する者が日本で法人としてビジネスをするには、
本国の法律に準拠して設立された法人を「外国会社」として日本で設立して持ち込むか、
日本に住所を有する者の協力を得て株式会社を設立するかどちらかだったと思うのですが、
今回、運用改正がされたことで、海外から日本にビジネスを持ち込む方にとっては
大きなチャンスとなりました。

私も外国人が関与する会社の設立には頻繁に関与していますので、
手放しで喜んでいたのですが、知り合いからあるご指摘をいただきました。
「犯罪者引渡条約の未締結国の人でも設立OKなのは怖いですね。」と。

おっしゃる通りです。
法人は、ただでさえ詐欺などに利用されやすいのに、
詐欺に利用された上、犯罪者引渡条約の未締結国の人間の場合、
本国に逃げられたら逮捕できない。。。。。

犯罪に利用される可能性もあるわけです。

恐ろしいですね。。。。。

 <みさき司法書士事務所>

2015.03.17.

商業登記【株主総会への出席】

先日、某法人様より、
「株主総会を開催するので、司法書士として(?)議事録作成のために出席してほしい」と頼まれ、
株主総会を私の主導にて開催させていただきました。

議案の要綱を添付しての株主総会の招集から、当日の運営&議事録作成、登記まで。
滅多にないことですので、嬉しかった反面、緊張でした。

議事録を総会中に作成してプリントアウトし、その場で署名捺印をいただき、
翌日登記申請を行うという緊張感…。
そして、無事に補正なく登記が完了したときの安堵感…。

企業法務ってすごくやりがいのある仕事です。
会社法改正もあるので、もっと勉強して、またこのようなご依頼をいただけるように頑張ります

 <みさき司法書士事務所>

2015.01.26.

商業登記【平成27年2月からの登記規則改正について】

平成27年2月27日から、商業登記規則の一部に改正があるそうです。

主な内容としては
①株式会社の設立登記又は取締役等の就任の登記申請の際に、今までいらなかった住民票等本人確認資料の添付を要すること。
(選任議事録や就任承諾書には役員の住所の記載が必須になります。)

②代表取締役等(法務局に印鑑を届け出ている者)の辞任届には、法務局届出印の押印又は実印の押印と印鑑証明書を要すること

③現在の氏とともに婚姻前の氏を登記簿に記録するよう申出ができること

だそうです。

①については、以前から(不動産登記に比べて)商業登記はザルだなぁ…
と思っておりましたので、もっともな改正なのではないかと思いました。

ちょうど2月18日に設立登記を予定しているので、いつから施行なのかハラハラしていました。

添付書類に変更があると、
改正前後はとまどいますね。

<みさき司法書士事務所>

2014.10.27.

商業登記【種類株式の名称は?】

株式会社が発行する株式は、特に何も取り決めがなければ1種類だけ(普通株式だけ)なのですが、
定款で定めることによって、さまざまな種類の株式を発行することができます。

例えば、株主総会において議決権を制限することのできる株式や、配当に優劣をつける株式などが一般的です
そして、株式を種類分けして発行した場合、普通株式と区別するために、種類株式になんらかの名前を命名します。

登記申請の本には、「甲種類株式」や「A種類株式」など、まぁ無難な名前が例として記載されています。
しかし、株主総会で決まった呼び名である以上、法務局が否定することはできませんから、
当然「ぱんだ株式」や「うさぎ株式」、「きりん株式」でもいいと思いますし、
「いちご株式」「ばなな株式」なんてふざけた名前でも登記できるんじゃないの!?と思ったりしています。



定款第●条
当会社の発行可能株式総数は●●株とし、普通株式及びいちご株式の発行可能株式総数は、普通株式●株、いちご株式●株とする。
2 いちご株式は株主総会における議決権を有しないものとする。



なんてね。

とはいえ、そんなふざけた名前は依頼者様にご提案できませんので、
無難に、「議決権制限株式」という名前で登記させていただきました。

そんな冒険をそのうちしてみたいなぁと思いつつ、
そんな冒険をさせてくれる、お茶目な会社の社長様との出会いに日々期待しています♪

 <みさき司法書士事務所>

2014.10.01.

商業登記【まつげエクステサロンをするとき】

最近はどんどん新しい事業が増えてきているので、
時代についていけません

会社設立の際に、発起人の方から、
「まつエクサロンをしたいんです。」と言われました。

最近はよくニュースなどで無届で営業しているサロンが問題になっておりますが、
まつエクサロンをするには管轄の保健所に美容所の届出をしなければいけません。

そのため、法人にする場合は会社の目的にちゃんと入っていないといけないのかと思い、
保健所に確認しましたら、「目的に入ってなくても問題ないけど、
念のため入れておいてください。」と言われました。

「まつげエクステサロンの経営」
う~ん新しい響きですね!!!

<みさき司法書士事務所>

2014.06.18.

商業・法人登記【ヒーロー株の導入】

最近ご相談をお受けした事案で、こんなものがありました。


【ご相談の趣旨】
先代の社長と交代して、今は自分が代表取締役社長となっているけれど、
会社の株式は先代の社長が95%所有している状態です。
ところが、先代の社長が認知症となって、成年後見開始の申し立てを今行っている最中です。
株式(議決権)が自分にほとんどないというのは、会社の運営上でやはり困りますし、
先代の社長も議決権を行使できないとなると、今後どうすればよいのでしょう?



困りました…
議決権が社長に3分の2以上ないとなると、定款変更すらできません。
とりあえずなんとか先代の社長さんから株式を買い取るしかなさそうです。

結局、成年後見人が選任されたのであれば、
成年後見人に裁判所と協議してもらい、時価相当で買い取りましょう!という話になりました。
時価があまり高くないのでよかったのですが、
高額な株価の会社でこんなことが起こったら…と恐ろしく思います。
特に、成年後見人が選任されている場合には、贈与は絶対に裁判所が許してくれないため、
大変です。

今後はこんな話も増えてくるのでしょうか?

今回のような問題は、
次のような定款の定め(「ヒーロー株」といいます。)があれば、
回避できたのではないかと思いました。


【ヒーロー株の例】
(株主総会の議決権に関する株主ごとに異なる取り扱い)
第○条 株主Xは、株主Aに下記の事由が生じている間に限り、その所有する株式1株につき、●●●個の議決権を有する。
一 認知症、病気、事故、精神上の障害による判断能力の喪失
二 上記の場合において、成年後見人等が選任されている場合
三 行方不明
四 その他株主総会に出席して議決権を行使することができない事由



会社設立時に、なんとなくで定款を作ってしまうのではなく、
会社の危機に強い定款を考えていくと面白いですね。


登記事項の各種変更はコチラ
費用はコチラ

 <みさき司法書士事務所>

2014.06.01.

商業・法人登記【合同会社から株式会社への組織変更】

最近、ありがたいことに商業登記がとても多くて、すごく楽しく仕事をしています
(実は、大学時代は会社法ゼミにいたくらい、企業法務に興味があります

合同会社から株式会社への組織変更についての問題点?と言いますか、
手続きの注意点について、いくつか気づいたことがありましたので、書き留めておきたいと思います。

【その1】
資本金の額については、特に変更がなければそのまま移行することになるのですが、
登記記録から明らかなため、特別に資本金の額を計上するための書面は必要となりません。

【その2】
これは注意というほどでもないのですが…。
合同会社には資本金という概念はありますが、株式という概念はありません。
そのため株式会社になる際に、発行済株式数をどうするのか?という問題があります。
これは、組織変更計画の中で自由に決めることができます。

【その3】
印鑑証明書の要否について。
合同会社の代表社員が、株式会社に組織変更した後も代表取締役として就任する場合、
就任承諾書に捺印した印鑑に印鑑証明書を添付する必要はありません。
したがって登記上は添付書面とはならないのですが、
合同会社から株式会社に組織変更すると、通常は会社の代表印を作り直しますよね。
そうすると、印鑑を再度登録するときに、結局は印鑑証明書が必要になるのです。

商業登記、奥が深くて面白いです。

 <みさき司法書士事務所>

2014.05.22.

商業登記【募集株式の発行の効力発生日】

今日はどきっとすることがありました

現在、複数の人からの払込を受ける募集株式の発行で、
資本金の額の増加変更を行う手続きを行っているのですが、
なぜか今日、法務局から補正の電話がかかってきました。

よ~く話を聞くと、
「最後の人が払い込みをした日が資本金の額の変更の効力発生日なので、
申請書の日付が間違ってます。」とのこと

「えっ!?株式引受人が複数いる場合は、便宜、
株主総会で定めた払込期間の末日でいいんじゃなかったですっけ?」と聞くと、
「違いますよ。便宜、最後の人の払い込みのあった日ですよ。」の一点張り…

法務局はやと思っている素直な私なので、
「すみません、補正に行きますね。」と謝罪して電話を切りました。

約5分後、同じ登記官から電話があり、
「すみません。払込期間の末日ってなってました。」と謝罪されました。

補正に行かずに済んでよかったのはよかったのですが、どきっとしました。
登記官の言うことを信じてばかりでは、ダメですね。

 <みさき司法書士事務所>

2014.04.25.

商業登記【取締役の辞任届と捺印の必要性】

久しぶりの更新になりました
最近あったお仕事での出来事の話をひとつ

不動産の権利の登記は対抗要件であって、
「登記しなければならない」という義務はありません。

ところが、会社の登記の場合は、登記事項に変更があれば2週間以内に
「登記しなければならない」という義務があります。

既に会社を辞めてしまっている取締役を、何年も経ってから、
「取締役から外してください。」と社長様からご依頼いただくケースは大変多いです
(後日罰金の督促状が届きます…。)

もう辞めてしまった取締役と連絡がつかない場合がほとんどですので、
後から辞任届を貰うことはできません。
(登記はその都度してくださいね!!)

今回、2年以上前に退社した取締役の辞任の登記をご依頼いただきましたところ、
当時会社が取締役から受領していた「辞任届」は会社にあったのですが、
日付住所氏名の署名はあるけれども、捺印がない

辞任届に捺印がない場合でも、登記する際に提出する「辞任届」としては問題がないのか
という点ですが、辞任届については捺印が必要という明文での根拠はないため、
捺印がないのは「変な感じ」がしますが、なんとなく登記できそうな感じです。

念のため大阪法務局の商業法人登記部門に尋ねてみました。
すると、「名前は自書されてるんですよね???
まぁ明文で捺印義務の規定はないので、あくまでも意思表示がわかる文章であれば、
却下になることはありませんので。。。」と言われました。

ほっとしました。

 <みさき司法書士事務所>

2014.03.19.

商業登記【マレーシア公証人サイン証明】

日本人が不動産を売却するときや、法人の役員になるときなど、
登記申請の必要書類として印鑑証明書を提出する必要があります。

印鑑証明書は、日本に住所を有する日本人又は日本に在留資格のある外国人であれば、
住所地の市町村で印鑑登録を行えば即日でも発行してもらうことができます

ところが、日本に在留資格がなくて住民登録のない外国人の場合はどうでしょう
(あるいは、外国に住所を有する日本人)

この場合、印鑑登録ができず、印鑑証明書を提出できないため、代わりの書面を提出することになります。
それが「サイン証明」と呼ばれるものです。

外国の現地の公証人の目の前で本人が書類にサインし、
書類そのものに、「本人のサインに間違いない旨の証明」がなされるものです。

最近取得したマレーシアのサイン証明はこんな感じでスタンプが押されていました。



マレーシアのサイン証明を見たのは初です。
国によって全然形式が違うんやなぁと思いました。

ちなみに、スタンプで押されている内容は公証人役場の住所とか連絡先でしたので、
しかも英語なので、さすがに見ればわかるから訳文を付ける必要はないだろうと思い、
そのまま登記申請したところ、「訳文を付けてください。」と補正の電話がかかってきました。
私「え、そのままなんですけど…。」
登記官「それでもつけてください。」
と言われ、しぶしぶ訳文適当に作って付けました。

 <みさき司法書士事務所>

2014.02.12.

商業登記【出資金の余剰払込について】

最近なぜか商業登記のご依頼が増えてきました。

募集株式の発行を行う際の払込について、最近知ったマメ知識です。

海外からの送金の場合、送金が同日ではありませんので、3日前後時間がかかります。
したがって、レートに変動があってはいけないため、少し多めに口座にお金を送金してもらうのですが、
募集株式の発行で定めた要綱にある払込金額よりも多めに入った払込金については、
どのように処理すればいいのだろうか…。
端株を発行した方が良いのだろうか…。
と不思議に思い、法務局に確認しました。

すると、「株主総会で決定した払込金額、増加資本額、発行株式数は、勝手に変更できませんので、
多めに振り込まれたお金は、単に多めに入っただけですから、
会社がその方に返還する義務が発生するだけであって、出資としなくてもよいです。」
と、よく考えてみればごもっともすぎるご回答をいただきました。

これは設立の際の払込でもよくあるそうです。

他にもDESといって、会社への貸付金を株式化する(現物出資)という方法もあり、
振り込んだお金をいったん貸付金として計上し、
貸し付けたお金のうちの一部を出資とすれば、ぴったりの金額を出資できるのでは!?と考えてもいたのですが、
今回は、海外に在住する外国人が日本の株式会社を購入&投資し、
投資経営の在留ビザを将来的に取得したいという事案でしたので、
失敗があってはいけないため、一番出資であるということがわかりやすい方法で…と思い、
とても神経を使いましたが、結論からすれば無駄な心配でしたね
いや~登記官ってすごい知識量です。

 <みさき司法書士事務所>

2014.01.31.

商業登記【定款認証前の資本金の払込の有効性について】

会社を設立する際、
「どのタイミングで発起人の口座に資本金を振り込んだらいいの!?」ということをよく質問されます。

原則は定款を公証人役場で認証してもらった後です。

ところが、ときどき定款認証前に振り込みをされている方をお見受けします。

この場合、いったんお金を口座から抜いてもらって、
定款認証後にもう一度振り込みをしてもらう必要があるのか…といいますと、
そうでもありません。

大阪周辺の法務局では、少なくとも定款作成日より後であれば、
なんとか設立の登記は受付けてもらえるようです。


でも、できれば、定款認証の後に振り込んでくださいね

万が一登記が通らない場合、補正ではなくて取下げになってしまいますし、
会社設立の場合は、設立の日にこだわる方もいらっしゃいますので、
希望通りの日付に設立ができない場合、困ってしまいますから

 <みさき司法書士事務所>

2014.01.21.

商業登記【取締役会の廃止と株式の譲渡制限に関する事項の変更】

昨日は大阪司法書士会の新年互礼会でした

こういうのに参加する顔ぶれというのは
だいたいなんらかの役員や委員をしているメンバーですので、
ほとんどの方が顔見知りだったりするのですが、
昨日は見たことのない先生方もたくさんいて、
大阪は司法書士が多いんやなぁ~と改めて思いました。

欲張ってたくさんケーキを食べました




さて、最近たまたま連続して多いのが、
会社の取締役会の廃止、監査役の廃止のご依頼です

旧会社法では、取締役会と監査役は株式会社の必要機関でしたので、
どこの会社さんも取締役会と監査役を必ず設置しておりました。
ところが、最近になって「役員はそんなに必要ない」ということになり、
「社長以外は役員から外してくれ」というようなご依頼が多いのです。

取締役会設置会社である以上、3名以上の取締役を置く必要がありますので、
取締役を減らすには、取締役会設置会社である旨を廃止する必要があります。

登録免許税は、
取締役会の廃止⇒3万円(ヲ)
役員の変更⇒1万円(カ)(資本金の額1億円を超える会社は3万円)
で、合計4万円となります。

そして、合わせてご確認いただきたいのが、
「株式の譲渡制限に関する規定」です。
取締役会設置会社の場合は譲渡の承認機関が取締役会となっていますので、
取締役会を廃止するなら、これを他の文言に変えてやる必要があります。

そのため、合わせて株式の譲渡制限に関する規定の変更も行う必要がでてきます。
こちらは登録免許税は3万円(ツ)です。

そしてそして、商業登記の場合は合わせて行えば登録免許税がかからない登記事項の変更があります。

例えば、商号変更、目的変更、発行可能株式総数の変更、株券を発行する旨の定めの変更、
監査役を設置する旨の廃止などは全て(ツ)という項目に分類されますので、
株式の譲渡制限に関する規定の変更と同時であれば、別途登録免許税は必要ありません。

目的を追加したり、株券を発行するとなっている会社さんがこれを機に不発行としたり、
監査役も廃止にして欲しいと言われることが一番多いですね。

登記事項の変更につきましては、どこをどう変えたら良いのか、登記費用が安くつくのか、
率直にアドバイスさせていただきますので、ぜひご相談ください。

  <みさき司法書士事務所>

2014.01.15.

商業登記【普通株式の種類株式(議決権制限株式等)への転換】

最近、議決権を制限する旨の種類株式を発行できるよう、株式会社の定款変更をするのと同時に、
既発行の普通株式を種類株式(議決権制限株式)に転換するという手続きを行いました

私の持っている種類株式に関する実務書には見解の相違があり、
一方では、「株主総会に株主が全員参加により行われており、既発行の普通株式を種類株式に転換する旨の議案について、株主全員が賛成しているのであれば、株主総会議事録だけでOK」と書かれており、
一方では、「種類株式に転換する普通株式を持っている株主と会社の間で交わした合意書と、転換対象株式を所有する株主以外の株主の同意書を添付する必要がある。」と書いてありました。

不安だったので、申請先の法務局に問い合わせを行ってみました。
すると、登記官から得た回答は、
「株主総会で、既発行の普通株式を種類株式に転換する旨の議案について、転換対象株式を所有する株主以外の株主全員が賛成していることが議事録の記載から明らかであれば、同意書は省略できます。合意書は省略できませんので、株主との間で交わした合意書は添付してください。」とのことでした。

商業登記は奥が深いです。

<みさき司法書士事務所>

2013.12.11.

商業登記【NPO法人登記懈怠の過料】

数か月前に役員変更登記を11年放置していたNPO法人の役員変更を申請しました。

不動産登記の場合は登記するのは「対抗要件」であって、「義務」ではないのですが、
商業登記の場合は登記は「義務」ですので、登記事項に変更があれば、
遅滞なく登記を行う必要があります。
そして、登記を懈怠した場合には過料がかかってきます。

NPO法人の代表に、「絶対何万円も過料がかかりますよ!覚悟しといてくださいね!」と話し、
登記してみたところ、先週代表者の方から連絡があり、
「過料の通知書来ました-!3000円でした-!」と言われました
NPO法人だから安かったのでしょうか・・・・。

過料の基準は私たちでもわからないので、いつもびくびくしているのですが、
3000円で済んで本当に良かったです。
(株式会社の場合は本当に何万円も負荷されると思いますが

 <みさき司法書士事務所>

2013.11.06.

商業登記【非公開会社の取締役の任期】

忙しくて更新がサボリがちになってしまいます

同業の知り合いが、「いつも見てるよ。」なんてありがたいことを言ってくださるので、
あ~頑張って更新しようって思っては綴っています。
日々の業務で得た知識やノウハウをここでざっくばらんに?綴ります

さて、非公開会社の取締役の任期なのですが、
既に皆さんご存知の通り、任期10年まで延長できます。



会社法第332条
取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2項 前項の規定は、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。



そんなことは私も当たり前に知っていたのですが、
どの会社の定款を見ても、延長後の任期はだいたい「選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」と、株主総会終結の時までとうたっています。

これを例えば、「2年1か月」とか、「5年6か月」という定め方をしても問題はないのか…?
会社法332条2項の読み取り方によっては、株主総会終結の時までと入れるのは必要と考えることができなくもないです。

そもそも、そんな中途半端な任期の定め方をする定款なんて見たことがなかったので

で、今回解散予定の非公開株式会社において、取締役の任期が満了していたので、
重任登記してから解散登記するか、株主総会で任期を伸長してから解散登記をするかで悩んでいました。
実質は、子会社の役員解任を行うつもりでの子会社の解散登記だったので、
任期を伸長してしまうと、任期満了時までの損害賠償の話になってもややこしいので、
ぴったり「2年●ヶ月」というような任期で終えてもらう必要があったのです・・・・。
(もはやこの時点でややこしい)

これはもう聞いてしまえ~と思い、
東京法務局の法人登記部に問い合わせをしたところ、
「あんまり例はないけど、条文上は問題ありません。」と回答を得ました。

う~んそうですよね
あまり見たことがないから、聞いたことがないから、というだけで、
できないのではないか?という固定観念を持ってはいけませんね

<みさき司法書士事務所>

2013.10.22.

商業登記【株式会社解散の事前決議】

株式会社の定款変更を行う場合に、効力発生日をあらかじめ定めて、
株主総会で事前に承認しておくことも多いのですが、
株式会社の「解散」については、法務局は事前決議には消極的なようです。

事前決議を容認してしまうと、
平成○年○月○日に会社が解散するということが決まっているにもかかわらず、
登記はされていない状態になってしまいます。

そうすると、近いうちに解散するとは知らずに取引に入った第三者を保護できないからです。

東京法務局では、「2週間前くらいの決議なら受理します」との回答を得ました。
でも、できれば議事録は事前決議ではなく、株主総会のあった日に解散とした方が良いみたいですね

なお、どうしても事前に「この日に解散する!」ということを決めておきたいのであれば、
定款変更決議をして、株式会社解散の日を定め、その旨を登記し、
解散の日が経過してから解散の登記をしてください…とのことでした。
めんどくさいけど、法務局のおっしゃる通りですね…。

 <みさき司法書士事務所>

2013.07.28.

商業登記【NPO法人の理事の代表権喪失の登記】

NPO法人の登記に、ときどき触れることがあります。
いちげんさんよりは、主に知り合いの団体であることが多いのですが。

今回、役員変更を頼まれて謄本をあげてみると、
設立当初から役員変更がされていない状態でした

NPO法人の役員の任期は2年(定款での延長なし)ですから、完全に登記懈怠です
登記をすることで、科料がかかってしまいます

かといって、放っておくわけにもいきませんので、登記するしかありません

こんな場合には、2年の役員の変更ごとに、登記を順番に入れていかなければなりません。
いきなり現在の役員を登記することはできないです。

そして、NPO法人の関係者様でしたらご存知かと思いますが、
平成24年4月1日から、NPO法人の理事の代表権に関する法改正がされたことに伴い、
法令の施行の際、現に代表権の範囲又は制限に関する定めがある特定非営利活動法人は、
6か月以内に、代表理事以外の理事の代表権喪失の登記をしなければなりませんでした(過去形)。

この代表権喪失の登記も入れ忘れているではありませんか…。

いったいいくら科料がくることやら…

これが非公開会社である株式会社だったら…うまいこと定款をいじってなんとかなることも…
あるかもしれませんが(おっと…司法書士がこんなこと公に言ってはいけませんね)。
NPO法人の役員の任期は2年!とぴったり決まっており、伸長できませんのでね。

変更の登記、まだしていない法人さんがいらっしゃいましたら要注意ですよ~。

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.17.

商業・法人登記【有限会社の代表取締役死亡】

有限会社の代表取締役が死亡した場合の登記申請についての論点なのですが、
久しぶりに事案として遭遇したので、ここに備忘録のつもりで書き残しておこうと思います。

【事案】
「A,Bが取締役、Aが代表取締役となっている有限会社において、Aが死亡した場合。」

有限会社では取締役が当然に代表権を有しているのですが、取締役が2名以上いる場合において、
代表取締役を選任すると、ただの取締役(平取締役)の人は代表権を制限されてしまいます。

したがって、【事案】のようなケースで代表取締役Aが死亡その他の事由により退任した場合には、
平取締役Bの代表権が当然に復活するのか?ということが問題となります。


なぜなら、Bの代表権が復活しないのであれば、
登記申請を行うためには改めて代表権をもつ取締役を選任しなければならなくなってしまうからです。

代表権が復活する場合としない場合は以下の通りです。


<代表権が復活する場合>
①「取締役2名以内を置き、取締役の互選をもって1名を代表取締役とする。」旨の定款の規定がある場合。
(登記研究254号質疑応答)
*当該定数の定めは、取締役が2名いる場合に限って代表取締役を定め、
そうでない場合はその者が当然に会社を代表する趣旨と考えられるからです。

<代表権が復活しない場合>

①「取締役2名を置き、取締役の互選をもって1名を代表取締役とする。」旨の定款の規定がある場合。
(登記研究181号質疑応答)
*当該定数の定めは、定款上代表権を有しない取締役として選任された後に、
その者らの互選によって代表権を有する者を決める仕組みになっています。
したがって、代表権を有する者が欠けたからといって、
当然に代表権を有しない取締役が代表権を有することにはならないと考えられています。
②代表取締役を株主総会で選任していた場合
③代表取締役を定款で選任していた場合



なお、代表権の回復の有無を証明するため、申請の際には必ず定款を添付する必要があります。

ご注意くださいませ-

 <みさき司法書士事務所>

2013.03.31.

商業・法人登記【本店移転はいつまでに登記するか】

会社法では、会社の登記事項に変更が起こった場合には、
2週間以内に登記しなければならないとされています。
登記が遅れると、登記懈怠になってしまい、過料の制裁を受けることがあります。

では、その2週間の起算点はいつか?というところなんですが、
本店移転で言えば、本店移転の「決議の時から2週間」ということになります。

もし、会社のオフィスを移転したとしても、本店移転の決議が行われていなければ、
実質的にそこが本店の機能を備えて2週間以上経っていたとしても、
登記懈怠であることが表面的にはわからないので、過料の制裁は受けない可能性が高いです。



*ちなみに役員変更の場合は、任期が法定されているため、
表面的に登記懈怠であることがばればれで、過料の制裁を受けやすいんです。。。



しかし、会社の本店住所は、最低限、その会社名で送付した郵便物が届く必要がありますから、
本店を貸オフィスから貸オフィスに移転して、旧本店は明け渡す場合など、
旧本店に郵便物が届いては困るような場合には、早めに本店移転の登記をするべきだと思います。

オフィスを移転しても登記事項の変更をしていない会社さんがときどきありますが、
たいがいが本店が自宅であったり、もうひとつのオフィスは健在しているという状態の会社さんです。

大阪市の入札事業に参加するために、実質の本店は別にあるけれども、
登記簿上は大阪市内に本店をおいている…という会社さんも以前見かけたこともありました。
まぁこの方の場合は本当に大阪市内にもオフィスを借りていたみたいなんですが。
本店のあり方はいろいろですね。

 <みさき司法書士事務所>


2013.02.14.

商業・法人登記【株式会社設立と共同代表】

株式会社の設立時に、「共同で事業をするので、出資は半分ずつで、どちらも代表取締役に入れてください!」という話を聞くことがあります。

しかし、そんな相談を受けたら、私なら「考え直した方がいいのでは?」と思ってしまいます。
なぜなら、現実にこのような形で会社を始めて、会社のかじ取りがうまくいかないケースが多いんです
もちろん、必ずではありませんよ

会社の意思決定は原則として株主総会で行います。
株主総会の決議は基本的には過半数出席の過半数決議で行います。
(重要な意思決定は特別決議と言って、出席株主の3分の2以上の決議が必要です。)
そのため、共同で事業を始めた場合に、意見が割れてしまうと、意思決定に支障が出る恐れがあるんです。
ですから、実質的な経営者には株主総会で意見が割れたとしても有効な決議ができるだけの株式(あるいは発行株式の全て)を最初から与えていた方が、会社のかじ取りがうまくいくと考えられます。

また、共同代表の場合には、どちらもが印鑑登録できてしまうため、
自分の知らないうちに銀行で融資を受けられてしまったら…こわいですよね?
(最近は、共同代表者がいる場合には、どちらからも契約書を書いてもらう扱いの金融機関が多いみたいですが

会社ひとつ作るにしても、いろ~んな問題点があるんです。
会社の構成に問題がないか?問題解決のために、何か明案はないか?

いつでもご相談ください。
事案により回答は異なりますが、全力で問題解決方法を考えて、ご提案させていただきます。

<みさき司法書士事務所>

2012.11.08.

会社設立【事業年度はいつがよい?】

 こんばんは。
 今日も午後からは専門学校で、民法と会社法を1コマずつ講義してきました。
 今は後期なので、民法はちょうど親族・相続の範囲を扱っており、会社法は応用編ということで毎回様々な法人を話題にしたり、組織再編の事例などを話題にしたりしています。
 今日の会社法の授業では、仮に会社を設立してみよう!ということになり、当事務所で普段、会社設立のご相談を受けた際に使っている相談シートなどを利用して、生徒に会社設立事項を考えてもらいました。
 それがまた、個性の強いこと強いこと…。いろんな会社ができて、すごく面白かったです。

 そして、事業年度について、いつにすればいいのかな?という声が出てきました。
 
 事業年度はいつにすればいいですか?と聞かれた場合に、私の回答としましては、3通りあります。



 ① 設立の日から約11ヶ月後に決算期が来るように事業年度を設定する。
 *せっかく設立したのに、すぐ1年目が終了して決算申告するなんてなんだか面倒くさいので。
 ② 決算期&確定申告時期が繁忙期とかぶらないように、事業年度を設定する。
 *繁忙期のばたばたの中で、決算期&確定申告時期を迎えるのは大変ですので、ずらすことをおすすめしております。
 ③ 一年で一番売上が見込めるシーズンが年度の最初の方にくるように事業年度を設定する。
 *こうすることで、年度が終了するまでのあいだに、経費をたくさん使うことができるからです。考えてみてください。一番売上のよいシーズンが終わってすぐに決算となると、税金がたくさんかかりますよね?それなら、経費として使ってしまった頃に決算が来るように事業年度を設定すると、節税になるのでは。。。という趣旨です。


 
 このように、事業年度ひとつとってみても、決め方にはそれなりの理由があるのです。
 会社の設立は、最初だからこそ、そして、設立者の思いが込もっているからこそ、納得がいくきちんとした会社を設立したいですね。

 <みさき司法書士事務所> 

2012.10.30.

組織再編【株式移転による完全親会社設立】

 今日、株式移転の手続きによる、完全親株式会社を設立する登記を申請しました。

株式移転とは、通常は数社が共同して、各社の株主から株式を回収し、共同で設立した親会社に株式を取得させて、ホールディングスを作るためによく用いられる手続きなのですが、今回は1社が単独で親会社の設立を行う株式移転でした。

創業一族の持っている株式の価値が高くなりすぎたため、その相続対策としての手続きです。

通常、株式会社の資本金の額は払込又は給付をした財産の額の2分の1までを資本準備金としてプールすることができるのですが(会社法第445条)、株式移転設立親会社の設立時の資本金の額及び資本準備金の額は、株主資本変動額(会社計算規則第52条参照)の範囲内で自由に定めることができるというのが、他の手続きと異なり、特徴的です。

会社法は奥が深いです。

<みさき司法書士事務所>

ご予約はお電話・フォームから 06-6940-4815

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